- あれ?「書き言葉」でこれを言っても大丈夫?
- 打ち解けた「話し言葉」でメールを送るのはありなの?
- サイトに応じた話し言葉・書き言葉の使い分けを知りたい……
そんな疑問、Webライターなら誰もが一度は抱えるはず。

言葉って、使い方次第で同じフレーズでも違った印象になるんですよね。
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話し言葉と書き言葉は なぜ使い分ける必要があるの?


人のコミュニケーションの取り方は複数あり、状況によって使う言葉を変えます。
対面や通話で直接会話をするなら話し言葉。
文書での対話や論文作成であれば書き言葉を使います。



論文の考察で「今回の実験結果マジでいけてるよね!」などと書いてあったらどうおもいますか?



この論文の内容は信用できるのかな? と疑問に思います……
SNSで自分としては仲がいいと思っていた人からのメッセージに「誠に申し訳ありません」と書いてあったら、実は仲良くしたくなくて距離を置きたいのかしら? と疑うでしょう。
話し言葉と書き言葉の使い分けが必要なのは、単に「ルールがあるから」ではありません。
相手に対する配慮や、自分の意図を正しく伝えるため。話し言葉と書き言葉を上手に使い分けることで、より効果的なコミュニケーションが可能になるのです。
話し言葉ってどんな場面で使うの?


話し言葉とはなにか、話し言葉の特徴と使う場面についてお伝えします。
話し言葉とは? 話し言葉の特徴
話し言葉は、音声によって伝えられる言語のことで、人が日常会話などで使う言語です。
- 今日は何食べようか
- 課題見せて
- なんだか疲れたね
「口語」とも呼ばれ、即時性のある会話・電話・チャットなどに使う自然でリラックスした言語スタイル。表現が自由で、カジュアルな表現も許され、文法的にゆるいこともあります。
特徴には以下のようなものがあります。
非公式 | 家族や友人との会話時など非公式な場面で使われる。書き言葉よりも砕けた表現や方言などが使われます。 |
省略 | 文の構造が簡略化されることがあり、必要ないと感じる単語やフレーズが省略されることがあります。 |
非線形性 | 会話では、話題が飛んだり、話が前後したりすることがあります。このような非線形性は、話し言葉の自然な特徴の一つ。 |
即時性 | 話し言葉は、直接的なコミュニケーションに使われ、話す人と聞く人がリアルタイムでやりとりをするときに使用する言語。。このため、感情や意図を直接的に、即座に伝えられます |
話し言葉使う場面
話し言葉を使うのは以下のような場面です。
- 対面での会話や電話
- SNSでのメッセージ
- Zoomのチャット
- ラジオ
- ブログ
- メルマガ
話し言葉を使うのは日常生活での様々な場面。主に非公式場面で使用するものですが、最近では一般の人もSNSを使った発信をしているため、ネット上のつながりでも話し言葉で対話します。
書き言葉は堅苦しい? 使う場面は


書き言葉は公の場面で使います。書き言葉の定義と使う場面について説明しますね。
書き言葉とは
書き言葉は「文語」ともいいます。話し言葉とは異なり、文字で表現する言葉であり、公の場面で用いられます。
書き言葉は、正確さや明瞭さを求められる場面で主に使用されます。
特徴としては文法や語彙がより厳格で構造が整っていて、ときにかた苦しい印象を与えること。
書き言葉の特徴
正確性 | 明確な表現が使用され、あいまいさや誤解を避けるために、具体的かつ詳細な語彙が選ばれます。 |
形式性 | 肩を使用した文などルールに従うことが多い。適切な敬語の使用や、一貫した文体が含まれます。 |
公式性と正式性 | ビジネス文書、公的な文書など、公式な文章において重要な役割を果たすため、適切な礼儀や敬意を表すための言葉遣いが求められます。 |
語彙の豊富さ | 専門的な用語や抽象的な概念を表すための語彙が豊富に使用され、特定の分野での正確な情報伝達ができます。 |
書き言葉は、情報を正確に伝え誤解を避けるための手段として利用されるため、改まった場面や正確な情報伝達が必要とされる場面で多く使用されます。
書き言葉を使う場面
ビジネス文書 | ビジネスで使用する契約書や提案書、メールなど。相手に尊敬を表し、かつ情報を明確に伝えるために書き言葉が必要です。 |
学術的な文書 | 研究論文や学術報告では、研究の成果や議論を正確に伝えるために、統一された形式の書き言葉を用います。 |
公式な通知 | 法律文書、政府の発表、公式な招待状など、公的な情報の伝達には、誤解の余地をなくすために書き言葉が選ばれます。 |
書籍原稿 | 書籍としての権威性を維持し、内容の信頼性を担保するために書き言葉を使用します。 |
話し言葉・書き言葉言い換え一覧
話し言葉を書き言葉に言い換える、一覧表を作成しました。言葉は無限にあるためごく一部です。
話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|
すごい | 素晴らしい |
やばい | 困難な |
ちょっと | 少々 |
聞いちゃった | 耳にした |
わかる | 理解する |
みたいな | 類似の |
っていうか | 言い換えれば |
話し言葉を書き言葉に言い換えるポイント


カジュアルな表現をなくす
話し言葉では日常的に使われるカジュアルな表現が自然ですが、書き言葉ではそのような表現を控える必要があります。たとえば、「めっちゃいいね」というフレーズは、「非常に良いと思います」と書き言葉に言い換えることができます。こうすることで、よりフォーマルで落ち着いた印象を与えることができます。
文法上の誤りをただす
文法上の誤りを正すことで、話し言葉を書き言葉に変えられます。
- い抜き言葉…… 話してる -> 話している
- ら抜き言葉…… 見られる -> 見られる (見れる)
- さ入れ言葉…… 行かせる -> 行く



話し言葉では文法的な緩さが許されることもありますが、書き言葉では正確な文法を守る必要があるのです
例えば、「何してんの?」という話し言葉は、「現在何をしていますか?」というように正しい文法に変更する必要があります。
口語を文語にする
例として、「やばいくらい忙しい」という口語は、「非常に忙しい状況にあります」と書き言葉に変えることができます。また「たくさん」「もっと」などの口語は、書き言葉には使用しません。



webライターがヤバイって言ってるのってやばいよね
感情表出は慎重に
感嘆詞で感情を強調することはブログやSNSではありますが文中に「!」や「?」などの感嘆詞を使用するのも書き言葉には不釣り合いです。
例えば、法律系のサイトで有益情報を語っている記事の見出しに
「手続きを開始する!」などと感嘆詞がある場合どう思うでしょう。



まじめな内容なのに、ふざけているのかな? と思います。
書き言葉で統一されたサイトで、感嘆詞を使用しては感情を表出することは不要なのです。
書き言葉を話し言葉に変えるポイント


書き言葉から話し言葉への変換は、文章をもっとカジュアルで親しみやすいものにします。特に、SNSの投稿や日常会話でのコミュニケーションを考えるときに重要です。それでは、書き言葉を話し言葉に変えるときのポイントをいくつか紹介しましょう。
簡潔な言い回しにする
書き言葉は複雑で長い文が使われますが、話し言葉は簡潔さが求められます。
書き言葉……彼女は、その問題について深い知識を有しており、多くの有益な意見を提供することができる
話し言葉……彼女はその問題知ってて、いいアイデアいっぱい持ってるんだよね
言いたいことを直接的に、余計な言葉を省いて伝えることが、話し言葉の簡潔さを作り出します。
文法上の省略も、話し言葉なら時にはOKです。
親しみやすい表現にする
書き言葉で使われるフォーマルな表現や専門用語を、日常会話で使われるような親しみやすい言葉に置き換えます。
例えば、「この件に関しては、お客様の満足度を最優先事項として考慮する必要がある」という書き言葉を、「この件はね、お客さんのことを一番に考えないとね」と話し言葉にすると、より親近感があり、リラックスした印象を与えます。
句読点や記号を減らす
書き言葉では句読点や記号を使って文の構造を明確にしますが、話し言葉ではその必要はありません。
話し言葉は流れるようなリズムで、自然な間の取り方が特徴。
書き言葉……本日は天候に恵まれ、イベントは、大成功に終わりました。
話し言葉……今日は天気よかったし、イベントも大成功だったよ!
書き言葉を話し言葉に変えるときは、文章をもっとカジュアルで、日常的なコミュニケーションに適したものにします。



話し言葉に変えることで、より人間的で親密な印象を与えられて、コミュニケーションが活発になりますよ
書き言葉と話し言葉|使い分けの注意点
書き言葉と話ことばの使い分けで気を付けるのは、文中で統一した言語表現を使うこと。
校正をしているとごくまれに【書き言葉で書いている原稿に話し言葉が混在する】ことがあります。ごちゃまぜな文体は読んでいる読者のリズムを乱すうえに「情緒不安定な人が書いている文章なのかしら?」と誤解をうけます。
- 全体に「だである調」で書いているにもかかわらず「めっちゃ」などのSNS用語が出現する
- 書き言葉「だである調」「ですます調」と「話し言葉のカジュアルな表現」など3種類以上が
不規則に混在する
ただし例外はあり、ブログでは書き言葉に話し言葉が混ざっても不自然でないケースもあります。重要なのは、対象読者が読みやすいかどうかです。



言葉を混ぜるなら、読者が読み疲れて息切れをしない程度にしないとね
話し言葉と書き言葉 使い分けで状況にぴったりの文になる
話し言葉と書き言葉、それぞれに場面に応じた使い方があります。書き言葉を話し言葉に変える際は、簡潔さを心がけ、親しみやすい表現を用いることがポイントです。句読点や堅苦しい記号を減らし、自然な口語表現を取り入れることで、コミュニケーションはもっとリラックスしたものになります。言葉選び一つで、文章は読者に対する印象を大きく変える力を持っているのです。
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