読んでいて疲れる文章、ありませんか?
それ、もしかしたら”冗長表現”が原因かもしれません。
無駄に長くスッキリしない文章は、情報を伝える力も半減。
しかも、読者に嫌われるためすぐに読者ににげられてしまう……
この記事では、読み手を疲れさせず、かつ伝えたい情報をしっかり届けるための冗長表現をなくすポイントを解説。
Webライティングのスキルを一歩進めたいあなたに、冗長表現に別れを告げて読みやすい文章を書くためのヒントをご紹介します。
冗長表現一覧がすぐにみたい方はこちらをクリック。
冗長表現はNG表現! デメリットとつい出てしまう理由
冗長表現は「じょうちょうひょうげん」と読みます。
冗長表現とは、ひとことで言うと「言いすぎ」のこと。必要以上に言葉を重ねてしまうことで、本来伝えたいことがぼやけてしまったり、読み手を疲れさせてしまいます。冗長表現の意味やデメリットなどについて解説しますね。
冗長表現とは
冗長表現とは、簡潔にすればいいのに余計な言葉を加えてしまうこと。
たとえば、「結論を言うと」の後に長々と前置きをしたり、「全く新しい」のように同じ意味の言葉を重ねたりするのが典型的です。ポイントは、同じことを繰り返し言ってしまうことによって、文章が長くなり、読み手の負担が増えてしまうことです。
冗長表現のデメリット
- 読み手の集中力をそぐ
- 主張の信頼性をなくす
インターネット上では、情報が溢れており、読者は常に次の情報を探しています。そのため、文章が長く、ポイントがすぐに伝わらないと、読み手は文章の内容そのものに興味を失い、ページから離れてしまうのです。
文章内容の信頼性さえ損なう原因にもなりえるのです。
冗長な表現を使ってしまう理由
- 無意識に使う文章の癖
- 書いている主張内容に自信がない
文章には癖が出てしまうもの。過去に私が校正校閲を担当した電子書籍原稿の中で、2万字のうちに「ことができる」が200個近く使用された原稿がありました。
平均して100文字に一回冗長表現が出てしまうなど、癖以外何でもありません
コメントで冗長表現について伝えると「自分では使っているつもりはなかった」と皆さん驚くのです。
理由のもう一つに、自信のなさが挙げられます。
自分の意見や伝えたいことに自信が持てないとき、無意識のうちに言葉を重ねてしまうもの。また、情報を伝えることに集中しすぎて、読み手の立場に立って文章を見直す機会を逃してしまうこともあるんです。
冗長な文章・表現の具体例
長すぎる文中・文末表現
- ~ということ⇢こと
- という感じ⇢削除
- というわけ⇢削除
長すぎる文中表現の例文は以下の通り。
- 〜ということ:「彼は来年大学に入学するということ」は「彼は来年大学に入学する」と言えます。
- 〜ということになります:「この問題は明日までに提出するということになります」は「この問題は明日までに提出してください」と言えます。
- 〜という感じ:「彼は優しくて面白いという感じ」は「彼は優しくて面白い」と言えます。
- 〜というわけです:「彼は熱があるので休んでいるというわけです」は「彼は熱があるので休んでいます」と言えます。
文中の冗長表現の中でも校正中に頻出するのは「ということ」ですね。つい書いてしまっていたら注意!
- ~ことができる⇢できる
- というわけです→削除
長すぎる文末表現の文例は以下の通り。
- ことができる:彼はかけそばを100杯食べることができる かけそばを100杯食べられる
- 〜というわけです:「彼は熱があるので休んでいるというわけです」は「彼は熱があるので休んでいます」と言えます。
無くてもいい言葉は省いてシンプルにするのが文章ルール。「ことができ」「ということ」と出てきたら、冗長表現なんです。
ごくまれに、あえて強調したいときに「ことができる」を使用するケースがありますが、めったにないものと覚えておきましょう。
二重否定表現
- ~と言えなくもない
- 協力しなくもない
- 決して安くはない
二重否定表現を目にした読者は、肯定の文を一度頭の中で否定し、さらにひっくり返すといった余計な処理をしなくてはいけません。
わざわざ混乱させる表現は不親切なんです。
直接的な表現に置き換えて「高い」「ある」など、シンプルに伝えることで、文章はぐっと読みやすくなります。
二重敬語・敬語の誤用
敬語の誤用例は以下の通り
敬語の誤用 | 正しい敬語 | コメント |
---|---|---|
おっしゃられる | おっしゃった | 「おっしゃる(尊敬語)」と「〜れる(尊敬語)」を重ねて使っているため、誤り。 |
お帰りになられました | 「お帰りになりました | お帰りになる(尊敬語)」と「〜ました(丁寧語)」を重ねて使っているため誤り。 |
お見えになられました | お見えになりました | お見えになる(尊敬語)」と「〜ました(丁寧語)」を重ねて使っているた |
伺わせていただきます | 伺います | 「伺う(謙譲語)」と「させていただく(謙譲語)」と、謙譲語を2回使っている |
御連絡させていただきます | 御連絡します | 「ご」と「いただく」の謙譲語が二重に使用されている |
敬語は相手への敬意を示す大切な表現ですが、過剰になるとかえって不自然で回りくどい印象がありますし、そもそも間違った敬語を使うのは相手に失礼。敬語の使いすぎにも注意し、バランスを取りましょう。
- 応募させていただきます
- 参加させていただきます
- 講義を受講させていただく
謙譲語の誤用で最も多いのが「させていただきすぎ」です。
応募や参加は許可制ではないため、様子のおかしい謙譲語。ただ回りくどくなるだけです。
同義語の重複
- まず初めに
- 繰り返し反復する
- あとで後悔する
- 過半数を超える
類語の重複は、同じようなニュアンスを表す言葉が複数存在する現象です。
まず初めにの「先ず」は先んじての意味であり「はじめに」の意味があります。さらに初めにを重なると「はじめにはじめに」といった意味の、おかしな言葉になるのです。
「全く新しいイノベーション」「無料でタダ」など、同じ意味の言葉を重ねるのは明らかな冗長表現。文章を書く際は、一つの意味に対して最も適切な言葉を選び、それを使いましょう。情報は簡潔に、そして明確に。
不要な指示語
不要な指示語の例
不要な指示語がある例文 | 修正文 | コメント |
---|---|---|
私は50部の資料を用意した。この資料を出席者に配った | 私は50部の資料を出席者に配った | 指示語を使ってわざわざ短文にする必要はない。 |
私は気に入ったスーツを購入した。このスーツがあるからここぞという時に頑張れるのだ。 | 私は気に入ったスーツがあるから頑張れる | 強調の意味での指示語が不要な指示語になることがある |
使わなくてもいい指示語を使って、文章をブツギリにするケースがあります。
校正をしていると「指示語の使い過ぎ」も著者さんの癖としてよく出てくるんですよね。
何度も指示語が出るとしつこく感じますね
文の前後にもよるため、中には必要な指示語もあります。しかし【本当に指示語を使う必要があるのか】いったん立ち止まって考えましょう。
指示語を使う場合は、あとに続く内容をできるだけシンプルにし、無駄な情報は削除します。
不要な接続詞
接続詞は文と文をスムーズにつないでくれる言葉ですが、使いすぎると冗長で「くどい」印象を与えます。
- また~であり、また~~など、同じ接続詞を連続で使用する
- 二行続けての使用など、直近で同じ接続詞を使う
- 接続詞がなくても文が成立するのに、接続詞を使ってしまう
省略してはいけない接続詞は逆接の接続詞。他の接続詞は、文章の流れをスムーズにするために使用できているか確認する必要があるでしょう。
無駄遣いされがちな接続詞は以下の通り。
- また
- だから
- ただし
- したがって
- ようするに
あんまり接続詞が多すぎても、理屈っぽい感じがするね。
一文が長い
私は学生のころ受講した小論文講座で「50字以上は悪文である」と教わりました。
どんなに長くても80字は超えないようにしましょう。
しかし、校正をしていると100字を超える文章に度々出会います……やはりクセなんですね。
一文に多くの情報を詰め込むと、読み手はどこに注目していいかわからなくなる。
一文で伝える情報は一つに絞った「一文一義」を心がけ、長くなる場合は文を分けて伝えるようにします。
また、接続詞を使いすぎずに、短い文を積み重ねることで、読みやすさが大幅に向上できますよ。
冗長表現を改善する方法
冗長表現を改善すると文章がスマートになるだけでなく、読み手にも伝わりやすくなります。まずは冗長表現が何かをしっかり覚えることが大事です。そして、書いた後の校正で、冗長表現をピックアップして改善するんです。ここでは、冗長表現を改善する方法を、わかりやすく紹介していきます。
冗長表現の種類を覚える
不足した知識は、身に付ければ改善できます。
文章ルールって覚えるのは大変ですが覚えれば財産になるんですよ。
文章ルールを学ぶならこちらの本がお勧めです。
文章を書いた後に校正ツールでチェック
書いた後に自分で読み返すのもいいけど、校正ツールを使うと、さらに冗長表現を見つけやすくなります。校正ツールには、無料のものから有料のものまでさまざま。それぞれの特徴を把握して、自分に合ったツールを選びましょう。
無料の文章校正ツール
所定の場所に原稿を貼りつけると瞬時の校正をし、誤字脱字のチェック・タイピングミス・助詞の誤用・文末表現をチェック。1回の校正に文字数制限はありませんが8000文字が推奨されています。
proofは、所定の場所に文章を貼りつけると校正をしてくれるツール。誤字脱字・句読点の打ち方や女子の誤用・二重敬語や重複表現もチェック。
無料版は1回で校正できる文字数が400文字ですので、Webライターの仕事として使うには文字数が少なすぎて厳しいかも。
有料版月550円にするのがお勧めです。
有料の文章校正ツール
有料ツールは、特に仕事で文章を書くことが多い人や、ブログを運営している人には、投資する価値ありです。
文賢を2年以上契約しています
誤字脱字や冗長表現の指摘だけでなく、より自然な言い回しの提案や、文体の一貫性チェックなど、細かい部分までカバーしてくれます。
今まで人力でチェックしていたのは何だったんだ……と思うくらいです。
冗長表現も簡単にチェックできるツール!
文章が冗長な人の特徴
冗長な文章を書きがちな人には、いくつかの共通点があります。「この文章、長すぎ?」と思ったことがある人は、この特徴に心当たりがないかチェックしてみましょう。冗長な文章を書く人の特徴を知ることで、自分の文章を見直すきっかけにもなりますよ。
話が長い
文章って長く書くより短く書く方が難しいんです。「要約力」がない場合、話がダラダラと長くなる。ポイントをズバッと言えず、ついつい遠回りしてしまう傾向があります。
話が長くなる原因は、伝えたいことが多すぎる、または自分の考えがまとまっていないから。
これが文章にも反映され、結果として冗長な文章になってしまうんです。
普段から話が長いって言われている人は要注意ですね。
話が冗長になる人の改善策は「ゴールを先に決めてから話す」ことですね。
文章を書きなれていない
文章をたくさん書いている人は、自然と簡潔に伝える力が身につきます。
しかし、文章を書く機会が少ない人は、どうしても冗長になりがち。
文章を書くって、実は結構なトレーニングが必要。書きなれていないと、どうしても「もっと詳しく説明しなきゃ」という気持ちが働き、余計な言葉が増えて結果的に冗長な表現が増えてしまうんですね。
文章を人に読んでもらっていない
自分だけで文章を書いて、誰にも読んでもらわない。これも冗長な文章を書きがちな人の特徴の一つです。
以前「10年日記を書いてきたので文章には自信があります!」と言う方の文を校正したところ、冗長表現が頻発するなど文章ルールがまったく守られたいない文章だった……という経験があります。
「自分はいい文章が書けている」という思い込みこそ危険なのです。
いい文章かどうか判断するのは、自分では無くて読者ですものね
自分の書いたものを客観的に見るのは難しいもの。でも、他人に読んでもらうことで、どの部分が冗長か、どの情報が不要かがはっきりします。フィードバックをもらうことで、自分の文章の「くせ」に気づき、改善していくことができるんです。
自信がない
遠回しな言い方や、長い形容などで「強く言い切っていませんよ」というためです。
- ~であると思います
- ~という見方もされています
- ~ということがあるかもしれません
校正で経験したのですが「自分に自信がない」と自分でいう方も、断言をしないため文章が長くなり主張がぼやけがちでした。
冗長表現まとめ一覧表
冗長表現をまとめて一覧表にしました。良かったらライティングの参考になさってください。
冗長表現 | 修正案 |
---|---|
~ということ | ~こと(もしくは削除) |
~というわけ | 削除 |
~ことができる | ~できる |
~と言えなくもない | ~と言える |
決して安くはない | 高い |
おっしゃられる | おっしゃった |
伺わせていただく | 伺う |
応募させていただく | 応募する |
まず初めに | 初めに |
あとで後悔する | 後悔する |
約1年前ほど前 | 約1年前 |
指示語の多用 | 指示語は最低限にする |
接続詞の多用 | 逆接の接続詞以外は削除できる。文をスムーズにつなぐ役割がなければ省く |
80字以上の長文 | 一文は50字以下にするのが理想。どんなに長くても80字以内 |
上記は一例です。他にも、冗長表現は多数あります。
校正ツールにかければ一発解決!
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冗長表現は読者にとって不親切。ルールを覚えて癖を直そう
冗長表現は長々とした文章で、大切なポイントが埋もれてしまいがち。でも、冗長表現のルールを一つひとつ覚えていくことで、この癖は直せます。ポイントは、自分の言いたいことをシンプルに、短く伝えること。文章を書くたびに、読者のことを思いやる心を忘れずに、スマートでわかりやすい表現を心がけましょう。読者にとっても、あなたにとっても、ハッピーな結果につながりますよ。
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